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「グレイトフルデッドにマーケティングを学ぶ」

   

「グレイトフル・デッドにマーケティングを学ぶ」と題されたこちらの書籍。

グレイトフル・デッドといえば、1965年に結成されたアメリカのバンドであり、ヒッピー・サイケデリック文化を代表するバンドでもある。名前だけであれば聞いたことがある方も多いでしょう。私はといえば、英語表記をずっと「Greatful Dead」と勘違いしていたくらいに俄です。正しくは「Grateful Dead」。ライブ演奏における即興演奏が特徴のバンドでもあり、『Live/Dead』は名ライブ盤として有名。

バンドに何を学ぶ?

バンドにマーケティングの何を学べば良いのか?

実はグレイトフル・デッドは、シングルヒットチャートとはほぼ無縁の存在であった一方で、その他の収益で見るとアメリカ国内でトップレベルだったとのこと。そして、そのような状態を作り上げた理由が、彼らのマーケティングに隠されていたのである。本書籍はそのマーケティングの秘密を分かりやすく解説している。

体験性を重視したライブ

グレイトフル・デッドが特に力を入れていた活動。それはライブである。

ファンになったバンドのライブに行くという経験は誰しもがあると思います。しかし考えてみれば、CDでも音楽は聞けるのにわざわざ生の演奏を聞きに行く理由はなんだろう?その理由は人それぞれだろうが、全員に恐らく共通しているであろうことは、何かしらの「体験」を味わいたくて行くという点だろう。生の演奏でしか味わえない「体験」をしたいのである。

グレイトフル・デッドはそのようなファンの心理を深く理解しており、ファンの期待を裏切らない「体験」を、ライブにおいて提供していたのである。

例えば、通常のバンドがツアーをしていると、ある程度セットリストが決まっていたりする。当然、違う日でも同じ曲を演奏することがある。そうなると、同じツアー内の違うライブに行っても、いまいち新鮮味がないこともあるだろう。

しかし、グレイトフル・デッドは毎日セットリストを変える。それだけでなく、同じ曲を弾いたとしても、即興演奏による演奏のため、同じ曲だとしても日によって全く演奏内容が異なるのである。つまり、グレイトフル・デッドのライブというのは、毎日内容が変わる、その日にしか味わえない一回性の体験なのである。

そうなると、ファンはライブの内容が気になってついつい毎回足を運んでしまう。グレイトフル・デッドはライブの内容を毎回変えることにより、常に新鮮な体験をファンに与えていたのである。

ライブ録音の許可

ライブを録音することは、一般的には当然ダメなはず。昔であれば、ライブを録音して海賊版として販売することが行われていたが、バンド側に利益が回ることがない海賊版がミュージシャンに歓迎されるはずもありません。ジミー・ペイジが怒ります

普通に考えればライブ録音は許可しないのが常識。しかし、グレイトフル・デッドは普通とは違う考えを持っていたようだ。

なんと、彼らのライブではファンによるライブ録音が許可されていたのである。くわえて、録音した音源をファン同士で交換することも許可しています

なぜ、常識では考えられないような選択をグレイトフル・デッドはしたのか?

それは、ファン同士の交流を促進することにより、一掃強固なグレイトフル・デッドのファンコミュニティを作り上げるためである。

ファンは無料で手に入れた音源を、ファン同士の交換だけではなく、グレイトフルデッドを知らない友人にも紹介していく。それにより、口コミが広がっていくのである。

時代を先駆けてグレイトフル・デッドはフリー/シェアを利用したマーケティングを行っていたのだから驚きです。

 

まとめ

この書籍にはグレイトフル・デッドが実践した数々のマーケティング手法を紹介している。非常に分かりやすくまとめられており、読みやすい。普段ビジネス系の書籍を読んでいなくとも、取っ付き易いと思います。また、グレイトフル・デッドを知っている人も、知らない人も、両方が楽しみながら読み進められると思います。特に、自身でバンドを組んでいる方は必読。

グレイトフルデッドのマーケティング全体に共通しているのは、「ファン」に「体験」を与えることを重視していることである。

グレイトフルデッドとファンの距離はとにかく近い。ファンもきっと、バンドに深く関わっているという実感を持っているだろう。だからこそ、離れない。

この書籍を読む前まではグレイトフル・デッドについて、髭もじゃのおっさんが率いていることくらいしか知らなかった私でも、読んだ後は彼らを好きになってしまった。さっそくAmazonで『Live/Death』はポチりましたよね。そして、Youtubeのように無料で音楽を聞けるようなツールが増えた現代こそ、グレイトフル・デッドの考え方はより共感が得られると思います。

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