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Anthony Jackson(アンソニー・ジャクソン)「全ジャンル対応セッションベーシスト」

      2015/01/28

数多くのミュージシャンの作品に参加している、全ジャンル対応スーパーセッションベーシストである、 Anthony Jackson(アンソニー・ジャクソン)

ポップス、R&B、フュージョン、ジャズ、プログレまであらゆる音楽に対応できるベーシストであり、セッションベーシストとしては間違いなく歴史上一、二を争う程の実力である。苦手なジャンルというものはなく、どのようなジャンルであろうと高水準のプレイを行い、数多くのミュージシャンに強く支持されている。

ポップス界では、チャカ・カーン、スティーリー・ダン、ロバータ・フラック、サイモン&ガーファンクル。ロック界では、サイモン・フィリップスやロック色の強かった時期のアル・ディ・メオラ。フュージョン界では、マイク・スターンパット・メセニー、チック・コリア、リー・リトナー。ジャズ界では、バディ・リッチ、ミシェル・ペトルチアーニ。さらに、ミシェル・カミロとはラテン。上原ひろみ、渡辺貞夫、矢野顕子などの日本人とも共演。

参加してきた作品は数知れず、おそらく本人も全部は憶えていないであろう。セッションベーシストとして引く手数多で、多くの歴史的名作を影で支えてきている。特にポップスの名作のクレジットを見れば、ベーシストとしてアンソニー・ジャクソンが参加しているなんてことはよくあること。セッションベーシストとして圧倒的な実力を誇り、同業ベーシストからの尊敬も広く受けています。

抜群の安定感

アンソニー・ジャクソンのベースプレイで特に注目されるのは抜群の安定感。土台を支える役割を持つベーシストですので、安定感があるということはベーシストとしての最低限の能力なのかもしれません。

しかし、アンソニー・ジャクソンの安定感はベーシストの中でも群を抜いています。アンソニー・ジャクソンのベースがバンドに加わるだけで、一つの大きな芯が真ん中に立つような印象を受けます。どっしりと重い支柱がドラムの上に立つ、そのようなイメージです。アンソニー・ジャクソンがバンドにいると、他のメンバーもきっと安心して自由なプレイをできるでしょう。アンソニー・ジャクソンのベースは他のメンバーを気持ちよくプレイさせる。だからこその人気なのでしょう。

ウネるようなグルーヴ

アンソニー・ジャクソンはグルーヴも特徴的です。所謂ファンクベーシストのように跳ねるようなグルーヴではなく、底のほうでウネウネとするようなグルーヴ。誰に似ている、ということができないような特徴的なグルーヴです。

強いて言えば、アンソニー・ジャクソンはジェームス・ジェマーソンに多大なる影響を受けているので、彼のグルーヴを継承しているとは思います。ただし、アンソニー・ジャクソンはジェームス・ジェマーソン的なグルーヴを独自に解釈して、しかもそれをさらに現代風に洗練させている。

単体で聞くとアンソニー・ジャクソンのグルーヴは相当クセが強いのですが、不思議とどのような音楽でもマッチする。一聴するとそれほど汎用性の高いグルーヴには聞こえないのですがね。

 

音色へのこだわり

また、アンソニー・ジャクソンは音色に対して強いこだわりを見せます。アンソニー・ジャクソンはピアノの低音のような音色を目指しており、その音色を再現するために機材を何度も改良したり、ケーブルにまでこだわったり、弦を頻繁に変えたりなど多大なる工夫を凝らしています。

実際にアンソニー・ジャクソンの音色というのは不思議である。低音を弾いてもブライトで輪郭のはっきりした音である。しかし、それでいて低音は物凄くでている。というか普通のベーシストと比較しても低音が凄く出ている。音圧もあり、「ずっしり」としたベースなのである。普通、トレブルを強調して音をブライトにすることはあるが、そのような音とは全く違う。

ブライトでありながら、低音が物凄く出ているという相反する特性が含まれているのが、アンソニー・ジャクソンのベースです。

そして、このような音色を再現するには、上述したような工夫がなされているのです。

ベースの改良

まず、ベースに関しては何度も改良しています。初期の頃は4弦ベースを使っておりましたが、フォデラの6弦ベースを使い始めてからは、一貫して6弦ベースを使い始めています。アンソニー・ジャクソンの表現において、6弦の音のレンジは必要不可欠なのでしょう。

しかし、6弦ベースを使い始めてからも、何度も楽器は改良しており、目指す音を再現できるように工夫を続けています。

ちなみに、アンソニー・ジャクソンは自身の6弦ベースのことをコントラバスギターと呼んでおります。また、ライブにおけるメンバー紹介の時でも「onコントラバスギター!」と呼ばれることがあります。

弦へのこだわり

アンソニー・ジャクソンは使用する弦についても相当こだわっています。ブライトで芯のある音を好むアンソニー・ジャクソンは、弦の寿命についてはシビアに考えており、レコーディングの際には一曲毎に弦を張り替えることもあるという。弦は使用してから2時間が寿命と考えており、音色に対するとてつもないこだわりとストイックさが感じ取れる。

フランジャーサウンド

エフェクターを多用しないアンソニー・ジャクソンですが、フランジャーサウンドは以前よく使っておりました。フランジャーサウンドについてはジェファーソン・エアプレインのジャック・キャサディに大きな影響を受けているとのこと。ピック弾きの際にはフランジャーサウンドを多用し、フランジャーサウンド+ピック弾きはアンソニー・ジャクソンの一つの特徴ともなっております。

 

奏法について

アンソニー・ジャクソンは奏法については2フィンガーピッキング、ピック弾き、親指弾き、コード弾きを使い分ける。スラップについてはほとんど使わず、「スラップを拒否したことにより、仕事の機会を失ったこともあると思う。」と本人も語っている。それでも、スラップを使用することを一貫として拒否し続けている。

基本的に奏法ありきのプレイをすることはなく、楽曲によってベストな奏法を選ぶ。以前は主に2フィンガーピッキングとピック弾きを使い分けていましたが、現在では2フィンガーピッキングがメインの奏法になりつつあります。それでも、楽曲によってはピック弾きを使うので、あくまで楽曲ありきであることがわかります。

親指弾きはジャズ系の楽曲で多用する傾向にあり、デッドな音を出したいときに使っております。コード弾きは独奏のときやその他局所的に使用している。

出したい音によって効果的に奏法は使い分けており、ベーシストとしてのプロ意識が見られます。

 

音楽的影響

アンソニー・ジャクソンが影響を受けてきたミュージシャンは、ジェームス・ジェマーソン、ジャック・キャサディ、オリヴィエ・メシアン。

ジェームス・ジェマーソン的R&Bプレイを相当研究しているようであり、実際にプレイにも影響が出ています。ただし、アンソニー・ジャクソンはさらに洗練させて、自分なりに昇華させているように感じます。

また、ジャック・キャサディからはピック弾きにおけるサウンド面での影響が大きい。リッチでメタリックなジャック・キャサディの音に惹かれた、と何度もインタビューでは語っております。現在でも、フランジャーサウンドを自身で使うとき、ジャック・キャサディの影響が出るとのこと。

オリヴィエ・メシアンについては音楽的な影響が強いとのことで、オリヴィエ・メシアンの曲を自身のコントラバスギターで練習していると語っております。

 

安定と緊張の両側面

アンソニー・ジャクソンは安定感のあるプレイが特徴である。しかし、彼には安定感とは程遠いもうひとつの側面があります。

特にフュージョン・ジャズ界でプレイする際によく顔を覗かせるのですが、アンソニー・ジャクソンの安定感の中には正反対である非常に危なっかしく、きわどいスリリングな側面が潜んでいます。彼がフュージョン・ジャズ界でプレイする際の緊張感溢れるギリギリなプレイは本当にたまりませんよ。

個人的にはこの「安定」と「緊張」という相反する側面を併せ持っているのがアンソニー・ジャクソンというベーシストの最大の武器だと思います。

アンソニー・ジャクソンのプレイを聞くとわかるのだが、フレーズに関しては相当独特なのである。音階をランダムに並べ替えたようなフレーズ、一聴して曲に合わないように感じさせるフレーズを挟み込むのである。フュージョン・ジャズの演奏の際に、特によく聞けるプレイですが、ポップスでも行います。安定したバッキングプレイの途中で突如として超独特なフレーズが挟み込まれることにより生まれる緊張感は聞いている方をドキドキとさせます。また、拍を奇数で割ることも多用します。このような一瞬の緊張感をプレイの中に挟み込むことで「安定」と「緊張」を楽曲の中に作り出します。

安定感のあるプレイが売りのアンソニー・ジャクソンですが、このような破天荒な側面もあるために、フュージョン界でも引っ張りだこなのでしょう。アンソニー・ジャクソンはあまり前にでてこないように見えますが、実際は裏のバッキングであり得ないようなプレイをしていることが多々あります。地味な印象を持っている方も多いかとは思いますが、とんでもない。これほど緊張感のあるプレイをできるベーシストはいません。

 

ベースソロ

ベースソロを頻繁に弾くタイプではありませんが、全く弾かないわけでもない。メロディアスなベースソロを弾くタイプではなく、前衛的で独特なフレージングをひたすら続けるのがアンソニー・ジャクソンのベースソロ。コード弾きを多用するのも特徴です。正直難解で常人には理解し難いベースソロですが、誰にも似ていないという点では聞いていて非常に楽しいとは思います。ちなみに、私は全く理解できません

 

 

セッションベーシストとして独自のスタイルを築き上げ、どこまでもストイックに自身のサウンドを追い求める姿は数多くのベーシストに影響を与えてきました。ベーシスト界で革命を起こした人物といえばジャコ・パストリアスですが、個人的にはジャコと並ぶ程のプレイヤーであると思います。

 - ベーシスト

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