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Move/上原ひろみ ザ・トリオ・プロジェクト feat.アンソニー・ジャクソン&サイモン・フィリップス

   


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■前作との比較

前作『Voice』に続いてアンソニー・ジャクソンサイモン・フィリップスを率いて発表された作品。これほどのビッグネームを自身のバンドに引き入れて継続的に活動させてしまう上原ひろみはやはり恐ろしい。

楽器奏者でないとこの二人の名前には馴染みがないかと思いますが、世界でもトップレベルのミュージシャンと言っても全く問題ないほどの実力の二人なのです。正真正銘の最高峰です。

強烈な個性を持つ演奏者が組んだトリオだけあって、丁々発止のインタープレイにはワクワクさせられる。互いが互いのプレイに反応しあって応ずる様は緊張感抜群。前作の『Voice』は期待を遥かに上回る名作でしたが、続く本作も相変わらずの高品質な作品。上原ひろみの作品にはハズレがありませんが、この作品も例外ではない。緊張感溢れる曲あり、ミドルテンポの美しい曲あり、という風にバリエーションに富んだ楽曲群が並ぶ。

とはいえ、前作がニュートリオのお披露目だったということもあり、かなり押せ押せの楽曲が並んでいて、最後まで息が抜けない作品だったのに対して、『Move』はだいぶ肩の力が抜けたリラックスした作品である。

前作は聞いている者を圧倒するような衝撃があったが、今作については腰を下ろしてじっくりと聞かせるような作品である。もちろん、あくまで前作と比較しての話なので、緊張感溢れる楽曲も十分にある。

まずは前作『Voice』でバンドの自己紹介をしてもらってから、本作の『Move』を聞くことをおすすめする。

■サイモン・フィリップスの変化

あと、今作ではサイモン・フィリップスのプレイスタイルにも変化がみられる。自身の個性を全面に出したパワフルドラミングで臨んだ前作は、一拍もジャズしていない感じがサイモン・フィリップスらしくてよかった。

しかし、今作に関しては上原ひろみの楽曲に大分慣れてきたのか、サイモン・フィリップスが前作よりジャズしている拍が増えた。さすがはトッププレイヤー。対応力があります。それにより、バンドとしてのまとまりが前作と比較して出ています。

個人的には、前作の唯我独尊サイモン・フィリップス路線は継続していて欲しかった気もしますが、それでも十分に彼らしさが出ています。バンドに順応しても自分らしさを出せるのがトッププレイヤーたる所以。

アンソニー・ジャクソンのプレイは相変わらずです。安定したプレイを行っているのに強烈にスリリング。安定とスリルをこのように表裏一体で兼ね備えているベーシストは彼だけです。本当に素晴らしい。

■楽曲

M1. 重厚でシリアスな曲調から始まった前作。果たして今作はどのように始まるか。。上原ひろみの同音連打が急に鳴り響く。一曲目がほぼ確実に名曲である上原ひろみですが、今回もその期待に応えてくれそうです。続いてアンソニー・ジャクソン、サイモン・フィリップスも演奏に加わる。シリアスな曲調ながらリズミカルな部分もあり、聞きやすい曲です。そして相変わらずの変拍子。さすがは変態です。キメも多く、演奏の面でも聴き応え十分。そして注目すべきは上原ひろみのソロセクション。”ひろみテンプレ”のELP的低音フレーズが挟まれます。さらにピアノソロ後のドラムソロも”ひろみテンプレ”。上原ひろみの1曲めで幾度と無く聞いてきたこの流れですが、何度聞いてもやられてしまう。カッコ良い。そしてドラムソロ中はひたすら低音リフで緊張を引き締めたと思ったら、ドラムソロ後に一気にそれを解放するのも上原ひろみらしい。ライブで演奏すれば盛り上がること間違いなしの曲です。

M3.コミカルな曲である3曲め。アルバムの中にコミカルな曲を入れるのも”ひろみテンプレ”。シリアスな曲から、それとは正反対の遊び心溢れる曲を作れるのが上原ひろみの良さ。彼女は幅広い曲調の曲を作ることができ、それでいてその全てに上原ひろみらしさがある。コミカルな楽曲ではありますが、ソロではグランドピアノを使った美しい展開に移ります。コミカルパートと美しいパートの緩急の使い分けがいい味出しています。テクニカルかつポップ、そして起承転結のはっきりとしたソロは相変わらず。そしてピアノソロ後はこの曲の目玉でもあるアンソニー・ジャクソンのベースソロ。重厚でリッチなサウンドを楽しむもよし、グルーヴを楽しむもよし、よくわからない奇想天外なフレージングを楽しむもよし。そして最後にはドラムソロとピアノソロの掛け合い。やはりこのドラムソロを聞くと、前作と比べてサイモン・フィリップスがジャンルに対応している気がする。前作のサイモン・フィリップス節は結構好きだったので少し寂しい気もします。

M4.ミドルテンポでベースの美しい響きが印象的な曲。サイモン・フィリップスのドラムも前作とは違い大分優しくなっているため、じっくりと聞き入ることができます。また、このトリオの見せ所でもあるドラムソロが含まれている。

M5. ここから3曲は組曲になっております。ピアノのリフから始まる曲で、慌ただしく音数が多い。ピアノソロは一転してアンソニー・ジャクソンのランニングベースが駆けずり回るジャズっぽい展開になる。相変わらずクセの強いランニングベースで、アンソニー・ジャクソンらしさが満載である。ジャズとの親和性が低そうな音なのに、なぜかかっこいいい。アンソニー・ジャクソンの音はこの点が本当に不思議です。ドラムソロがまたしても含まれている。

M6.騒がしかった曲からは一転して落ち着いた美しい曲。アンソニー・ジャクソンのヴァイオリン奏法が聞けます。まったりとした曲であり、一息つきます。アンソニー・ジャクソンとサイモン・フィリップスの静かな曲におけるアプローチが聞けます。

M7.組曲最後の曲。M5のような騒がしさに戻ります。またしてもひろみのピアノが音数の多いリフを弾きます。M5にかなり似てます。サイモンの長いドラムソロもあり。

M8.アンソニー・ジャクソンのベースリフから始まる。ベースがグイグイ曲を引っ張っていく。アンソニー・ジャクソンのベースソロも聞けます。彼のコールドプレイも聞けて、ベーシスト的にはお腹いっぱいの曲。

前作と比べて落ち着きのある曲が多い、緊張感という点では前作には及ばない。しかし、バンドとしてのまとまりは出ており、じっくりと聞くことができる作品です!

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