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Pino Palladino(ピノ・パラディーノ)「グルーヴマスター」

      2015/01/28

ポップス、R&Bを主なる活動の場としながら、ロック、フュージョン、ネオソウルまでも弾きこなす超一流のセッションベーシストである、Pino Palladino(ピノ・パラディーノ)

ジョン・メイヤー・トリオ、ロイ・ハーグローヴ率いるRHファクター、ジョン・エントウィッスル亡き後のザ・フー、ポール・ヤング、ディアンジェロ、ジェフ・ベックスティーヴ・ルカサー、ピーター・ガブリエル、サイモン・フィリップスと結成したPSPなど、その活動は多岐に渡る。

ポップス、R&Bの演奏を特に得意とするセッションベーシストですが、裏方に徹する玄人味溢れるプレイは多くのミュージシャンから支持されており、それ以外のジャンルのミュージシャンからも声がかかる超一流のセッションベーシストです。

ちなみに、アンソニー・ジャクソンが実力を認める程のベーシスト。

プレイスタイル

アンサンブルを影から支えるタイプのベーシストであり、派手なプレイを行うタイプではない。しかし、ピノ・パラディーノがバンドにいるだけでバンドの安定感は段違いに増す。

グルーヴ

ピノ・パラディーノのプレイで特筆すべきはそのグルーヴ感覚。オールドタイプR&B的なグルーヴ感覚を現代風に昇華して洗練させており、どんな音楽ジャンルにも対応できる。

ジェームス・ジェマーソンのような泥臭さはなく、もっと「今」っぽい。非常に心地の良いグルーヴ感覚であり、目を閉じて身体をゆっくりと横に、風に揺られているような感覚で動かしたくなるようなグルーヴである。また、メロディに寄り添ったグルーヴであるのも特徴。ピノ・パラディーノのグルーヴは唄っている。

また、ネオソウルにも対応する懐の深さも持つ。ディアンジェロのアルバム「Voodoo」で聞かせるグルーヴは驚異の一言。腹の奥底まで響くどこまでも深いノリを上手く出している。このアルバムではディアンジェロの方針により、ピノ・パラディーノに限らず全ての演奏者が非常にクセの強いグルーヴで演奏しており、発表当初はミュージシャン仲間からもあまり理解されなかったとのこと。しかし、なにより凄いのは、後ノリが深いグルーヴで演奏している一方で、どこかあっさりした部分もある点。単に後ろにグルーヴをずらしているだけではなく、推進力もあるグルーヴ感覚なのである。不思議です。

間違いなくベース界のグルーヴマスターの一人と言えるベーシストです。

フレージング

アンサンブルを崩すようなプレイをしないが、フレーズ自体は積極的に動かすタイプである。もちろん、フレーズを動かす際にも曲の邪魔は全くしない。むしろフレーズを動かすことにより、さらに曲を良い方向へ持っていく。そして、フレーズを動かす際にもグルーヴが全く失われないのが凄い。本当に凄い。

また、フレージングセンス自体も素晴らしい。メロディアスなフレージングが多く、主旋律に寄り添ったキレイなフレージングを行う。

ジョン・メイヤー・トリオなどではアドリブで弾くことが多いが、どのフレーズもメロディアスであり、それでいて「ただ単に動き回っている」というプレイじゃないのが素晴らしい。ペンタトニックを使ったニクイフレーズを連発するので、全ベーシストの参考になります。

またポール・ヤングのWherever I Lay My Hatのように、高音域を中心にメロディアスなベースラインを展開していくプレイも行うことがある。ピノ・パラディーノは高音域の使い方がキレイであり、この楽曲におけるプレイではそれが特にわかる。

ただし、ベースソロはほとんど弾かず、あまり得意ともしていない。サイモン・フィリップスと共に組んでいるPSPでは時たまベースソロを披露するので、ピノ・パラディーノのベースソロを聞いてみたい方はPSPを聞くと良いでしょう。

サウンド

今でこそ使用頻度は落ちてきているが、80年代はミュージックマン・スティングレイのフレットレスベースを使用していた。現在ではどちらかというと赤い色のプレジションベースがトレードマークとなっている。

ミュージックマンのスティングレイ+オクターバーを使ったプレイは有名。前述したポール・ヤングのWherever I Lay My Hatで聞けるプレイだが、ポップスにおけるフレットレスベースの使い方を提示している点で、当時革新的だったと思われます。

ジェームス・ジェマーソンなどのモータウン直系のR&B的なサウンドではあるが、泥臭さはあまりなく、もっと洗練されたサウンドである。高音域を使うときには特にそのサウンドの美しさがわかる。

まとめ

広い範囲のジャンルに対応できるグルーヴ・サウンドを持っているピノ・パラディーノ。高音域を使ったメロディアスなフレーズが美しく、歌モノとの相性は抜群である。一方でグルーヴについては、ネオソウルまでをもカバーする白人離れしたグルーヴ感覚を持っている。

ピノ・パラディーノはセッションベーシストとして、安定的なプレイをするため、多くのミュージシャンに支持されている。しかし、それだけではない。ピノ・パラディーノは安定的なプレイをする一方で、その楽曲にさらに彩りを与える+αを必ず加える。

優秀なセッションベーシストは数多いが、トニー・レヴィンやアンソニー・ジャクソンなどの超一流と言われるベーシストは、安定したプレイを行うのは当たり前であり、それ以外の付加価値を与えることが他のセッションベーシストと圧倒的に異なるのだと思います。そして、ピノ・パラディーノも無難なプレイでは終わらず、何かしらの化学反応を楽曲に与える、超一流のセッションベーシストと言えます。

 - ベーシスト , ,

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