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Voice/上原ひろみ ザ・トリオ・プロジェクト feat.アンソニー・ジャクソン&サイモン・フィリップス

   


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■またしてもサプライズを用意していたひろみさん

世界で活躍する日本人ジャズ・ピアニストである上原ひろみ。2003年に衝撃的デビューを飾ると、その後は瞬く間に活動の場を広げていく。実力はもちろんだが、派手なライブパフォーマンスも人気の理由の一つであり、カリスマ的資質を持つプレイヤーである。

彼女はいつも私たちを驚かせてくれる。長らくトニー・グレイそしてマーティン・ヴァリホラと共にトリオバンドで活動していたのが、2007年に突如デヴィッド・フュージンスキーを加えたエレクトリックバンドへと再編成する。と思いきや、次の年にはチック・コリアとのアルバムを発表し、さらに翌年の2009年にはスタンリー・クラークレニー・ホワイトと共にトリオでアルバムを発表。2010年にはスタンリー・クラークのバンドに参加し、ツアーも周る。

このように、次々とジャズ界の大御所と共演していき、幅広く活動していた上原ひろみ。どんどんビッグになっていったが、正直この時点で、リーダーアルバムはもうやり尽くしたのだと思った。エレクトリック路線には大分驚かされたけど、さすがにもうこれ以上ネタはないだろうと思った。

しかし、そんなわけはなかった

■とんでもない二人を呼んできた

なんと、2011年にアンソニー・ジャクソンサイモン・フィリップスを迎えてニュートリオを結成。これにはぶったまげた。もうね、全く考えられない。アンソニー・ジャクソンといえばセッションベース界のトップベーシストです。ピアノトリオでいえば、ミシェル・ペトルチアーニやミッシェル・カミロとやっているような人。

一方のサイモン・フィリップスも、ポーカロ亡き後のTOTOにドラマーとして参加。その他ジェフ・ベックなどと共演しているような超がつく一流ドラマー。

この二人をなんと自分のバンドメンバーとして入れてしまったのである!

アンソニー・ジャクソンは上原ひろみのアルバムに参加した経験もあるのですが、あくまでレコーディングでの参加。バンドメンバーとしての参加ではない。これほどのミュージシャンを自身のリーダーアルバムのバンドメンバーとして参加させたということには驚愕するしかない。

それに、上原ひろみ×アンソニー・ジャクソン×サイモン・フィリップスという、何が起こるか全くわからないような組合せには心躍らされる。

■Voice

『Voice』はそんな衝撃的なメンバーを集めて組んだトリオプロジェクトの第一弾アルバム。今まで上原ひろみの新作はいつも楽しみにしていたが、これほどまでに楽しみだったことはない。それくらいに、何が起こるか予測不可能なトリオである。曲目は以下。

1. Voice
2. Flashback
3. Now or Never
4. Temptation
5. Labyrinth
6. Desire
7. Haze
8. Delusion
9. Beethoven’s Piano Sonata No/8,Path

上原ひろみ(piano)
Simon Phillips(ds)
Anthony Jackson(b)

これが、トップベーシスト&ドラマーか!

上原ひろみのトリオといえば、今まではトニー・グレイとマーティン・ヴァリホラ。一流プレイヤーではあったが、それでも今までのトリオはあくまで上原ひろみが中心。しかし、『Voice』は違う。名実共に最高峰プレイヤーと言えるアンソニー・ジャクソンとサイモン・フィリップスがメンバーである。自身の個性を確立している二人に対して、どのように上原ひろみが立ち向かっていくのか。逆にアンソニー・ジャクソンとサイモン・フィリップスはどのようにそれを受けるのか。聞く前からワクワクが止まりません。さて、実際に聞いてみた感想は。。。。

感涙!!なんだこれ!!

今までのトリオも大好きでした。上品なマーティンのプレイに、速弾きしまくるトニーのプレイ。凄く好きだった。でも、あくまで上原ひろみのプレイが主役だった。

それが『Voice』ではどうだろう?なんだこのリズム隊は!強烈な個性!強烈なグルーヴ!強烈な主張!
上原ひろみがリーダーだが、そんなの関係ないとばかりに他の二人がとんでもないプレイをする。しかも、この二人は別に変に目立とうとしているわけではない。単純に、素の状態でこの二人のプレイが強烈すぎるのである!だが、強烈な二人に上原ひろみも全く負けていない。三人が全く同じ土俵でプレイしているこの感覚は、まさに「バンド」。

どっしりとした重厚なベースに、アヴァンギャルドなフレージングをしまくるアンソニー・ジャクソン。相変わらずのテクニックと起承転結のある、アドレナリン全開のソロを披露する上原ひろみ。最高だ!

しかし、個人的にはサイモン・フィリップス。この男が今回のトリオバンドのカラーを決める上で最も良い仕事をしている。賛否は分かれまくると思いますが。

全くジャズしていないサイモン・フィリップス

サイモン・フィリップスといえばパワフルなドラミング、ツーバス大好き、音でけぇなど。どう考えてもジャズではないだろうという個性を持っている。やっぱりロックなんですよね。ビートは芯までズンズンきますし。だから、上原ひろみのバンドでどういうプレイをするのだろう?ということが聞く前からの楽しみだった。しかし、なんのことはない。

そのままのプレイスタイルできやがった

ツーバスは踏みまくり、音はでかい。ビートはジャズしていない。とてもピアノトリオでの演奏とは思えませんが。ですが、、、、これぞサイモン・フィリップス

上原ひろみのジャズトリオはもう十分聞いてきた。ここであえてサイモン・フィリップスという強烈な個性を入れるからには、既存の所謂ピアノトリオとは別物を聞きたいのです。

さすがは上原ひろみ。サイモン・フィリップスをピアノトリオに起用するこのセンスは普通じゃない

曲レビュー

1.ダークで美しいピアノイントロで新しいバンドの幕開けに相応しい。リスナーの期待を刺激します。そしてそこから始まる低音リフ。これよこれ。これぞ、ひろみテンプレ。既に名曲の予感しかしませんが、同時に曲から伝わってくる演奏者の異様な熱気から、アルバム自体が上原ひろみ至上1,2を争う名作であることを確信させる。9拍子のピアノソロ、裏で一定のリフをときたま変化させるアンソニー・ジャクソン、サイモン・フィリップスのパワフルでロックフレージング満載なドラムソロ、全てが最高。結局ツーバスを踏んじゃうサイモン、最高です。

2.『Voice』発売前に既に発表されていた曲。アレンジはギターが抜けたこと以外大きな変化はない。ここもアンソニー・ジャクソンとサイモン・フィリップスの個性が良く出ている。特に1:47、2:02のベースフレージングは如何にもアンソニー・ジャクソンです。目立っているわりに若干ダサいところがまさにアンソニー。最高。ソロは上原ひろみの後にサイモン・フィリップスがとります。またしても全くジャズしていない感じが良い。そして、サイモン・フィリップスのドラムソロ後は、ラストに向けた上原ひろみソロ。Deep Into The Nightのラストのような高揚していくコード進行が美しい。

3.前2曲がシリアスな曲だったのと打って変わって、コミカルといってもいいような曲。コミカルな曲をアルバムに入れるのも、ひろみテンプレ。アンソニー・ジャクソンが大活躍する曲で、上原ひろみとアンソニーの掛け合いソロが入っています。相変わらずよくわからないフレーズを連発するアンソニー。やっぱりこの人は普通のベーシストじゃないです。サイモンのドラムソロも最後に聞けます。

5.スタンリークラークバンドに上原ひろみが提供した曲ですが、『Voice』にも収録。スタンリー・クラークとアンソニー・ジャクソンという全くプレイスタイルの異なる二人のプレイが聞ける。ウワモノ楽器のようにフレーズを弾くスタンリーと、あくまでボトムをしっかりとさせた上で弾くアンソニーの違いがよくわかる。アンソニーのソロも収録されており、ベーシストは必聴。

6.この曲もおせおせなテンポ感がよい曲。またサイモンがソロをとっている。

8.上原ひろみとアンソニー二人の演奏から始まる。アンソニーのフェイザーサウンドも聴ける。

おすすめの曲のみのレビューとなりますが、全体的に捨て曲がなく個人的には今までの上原ひろみの作品の中で最も好きである。
とにかく三人の個性がぶつかり合う演奏で緊張感は抜群である。

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