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Who’s Next(フーズ・ネクスト)/The Who(ザ・フー)

   

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最高傑作との呼び声も高い名盤

1971年に発売された『フーズ・ネクスト』は、ザ・フーがノリにノッていた時期に発表された作品。

なんといっても、ロックとオペラの融合が果たされたロック史に燦然と輝く大名盤『トミー』、これまたライブアルバムの最高峰に位置する『ライブ・アット・リーズ』、に次ぐ作品として発表されたのが『フーズ・ネクスト』なのである。

ピート・タウンゼントの創作的意欲も大変高い時期であり、ロックオペラの第二弾として『ライフハウス』が構想されていたのが、結果的には頓挫し、『ライフハウス』に収録予定の曲が集められて発表されたのが『フーズ・ネクスト』である。経緯だけを聞くと、妥協の副産物のようではあるが、セールス的には全英1位・全米4位の大成功を収めており、最高傑作との呼び声も高い作品となっている。

『フーズ・ネクスト』の次に発表される作品である『四重人格』も、ロックオペラの第二弾として成功を収め、作品としても大変質の高いものとなっており、この時期のザ・フーが如何に調子が良かったかがわかる。三作連続でロックオペラ作品だとさすがに重いので、結果論として『フーズ・ネクスト』がロックオペラとして発表されなかったのは実は良かったのかもしれない。

『フーズ・ネクスト』に収録されている曲はキャッチーなものが多く、それでいて先進的な技術も導入するといったチャレンジングな試みもされており、音楽性の高さと聞きやすさの両方をバランス良く味わえる作品といえる。

ザ・フーのロックオペラについては、素晴らしいの一言であるが、やはり聞き通すにはそこそこの体力がいる。その点、『フーズ・ネクスト』はこれからザ・フーを初めて聞く方の入門作品としてもオススメできる。

先進性と生っぽさの対比

『フーズ・ネクスト』の大きな特徴として挙げられるのは、シンセサイザーとシーケンサーの大胆な導入。荒々しいライブパフォーマンスで知られるザ・フーだが、そのイメージとは裏腹に「先進性」もザ・フーを象徴するキーワードである。

だが、ザ・フーの素晴らしい点は、先進的な技術を導入しても、バンドの荒々しい生っぽさを失わない点である。キース・ムーンはそもそも感覚派なドラミングだし、ジョン・エントウィッスルは(リードベース的な意味で)目立ちたがり屋だし、ピート・タウンゼントのコードストロークはタイトでありながらラウドで激しい。バンド演奏に関して言えば、ザ・フーはあくまで「生」なのである。

シンセサイザーという機械的で無機質な楽器を導入しても、この点は変わらない。

シンセサイザーによる洗練された感覚と、生演奏による荒々しさがこれ以上ない絶妙なバランス感覚で同居しているところに、『フーズ・ネクスト』というアルバムの素晴らしさがある。

先進性と生っぽさの対比を是非味わってほしい。これは、ザ・フーにしかできないことなのだから。

楽曲

  1. “Baba O’Riley”:『フーズ・ネクスト』の幕開けとなる曲だが、驚きなのは、ギター・ベース・ドラムという編成のザ・フーにおいて、この曲のスタートがシーケンサーからであること。これは大事件だと思う。生々しいライブ演奏が売りのザ・フーにおいて、生々しさとは対極に位置するシーケンサーが他の楽器を差し置いて主役となっているのだから。ミニマル・ミュージック風なアプローチで響くシーケンサー、これが、ザ・フーというバンドの先進性・チャレンジ精神である。これができるから、ザ・フーは強いのである。キャッチーなメロディ、「Teenage wasteland」という印象的な歌詞、当時における先進性、それでいて「ロック」スピリットを失わない演奏、というように名曲の要素を全て兼ね備えている曲である。
  2. “Bargain”:ザ・フーらしさのある曲。ジョン・エントウィッスルとキース・ムーンのドタバタ演奏は相変わらずライブ感があって素晴らしい。しかし、シンセサイザーも導入されており、生っぽさがありつつも洗練された雰囲気が漂う。
  3. “Love Ain’t for Keeping”:ブルース・フォーク的な泥臭さのある曲。それでいて、美しいコーラスも。荒々しさ・生々しさとソフィスケートされた美しさの同居というのは、ザ・フーの楽曲における1つのフォーマットになっていることがわかります。
  4. “My Wife”:本作において唯一『ライフハウス』とは無関係であり、ジョン・エントウィッスルの作曲である。三曲続けて同じようなテンポ感の曲が続くが、ここでもやはり生っぽさと洗練された美しさが際立つ。
  5. “The Song is Over”:ピアノがフィーチャーされたロックバラードである。アナログレコードではA面最後の曲なのであるが、これ以上ない配置でしょう。後半に行くにつれ、演奏も激しくなり、感動的な盛り上がりを見せていく。
  6. “Getting in Tune”:またしてもピアノがフィーチャーされた曲である。激しい盛り上がりを見せる前曲の終盤から一転して、静かに始まる対比は堪らない。それでいてドラムが急に入ってくる。前曲との静動の対比があり、曲中にも静動の対比があり、『フーズ・ネクスト』というアルバムに締まりを与えてくれている。
  7. “Going Mobile”:陽気な曲調でギターフレーズが印象の曲である。アルバムの中でもノリが少し異なる曲であり、『フーズ・ネクスト』に色彩感を与える役割を持っている。
  8. “Behind Blue Eyes”:ギターのアルペジオの切なさ、ロジャー・ダルトリーの物憂げなボーカル、哀愁というスパイスをさらに加えてしまうコーラスワーク、これらが絶妙に作用し合っているザ・フーの名バラード。これほどの名曲が収録されていながら、「このアルバムで一番良い曲はどれ?」という質問に迷ってしまうところに、『フーズ・ネクスト』というアルバムの楽曲レベルの高さが窺える。
  9. “Won’t Get Fooled Again”:ザ・フーの代表曲であり、ライブでは必ずといって良いほど演奏される。キャッチーな歌メロ、スピード感のあるテンポ、激しくヘヴィな演奏、シンセサイザーによる空間の奥行きの演出、というまたしても名曲の要素を全て揃えてしまった曲。

関連リンク

ピート・タウンゼント
ジョン・エントウィッスル
アナログレコードで聞くフーズ・ネクスト(外部サイト)

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